“有効な”遺言書は、家族への思いやり

相続の話し合いは、今まで過ごしてきた何十年もの家族への想いが感情的に絡まってしまうもの。家族だからこそ、話し合いが難しい部分もあるでしょう。そんなとき、亡くなった人(被相続人)の想いがわかる「遺言書」があれば、相続手続きをよりスピーディーにできる可能性が高まります。

しかし、次男もいるのに「長男に全ての財産を残したい」と書いただけでは、次男が納得するとは思えませんよね。遺留分(遺言書での処分に制限が加えられている遺産の割合)や、分けづらい不動産などの分け方に配慮した内容でなければなりません。

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有効な遺言書を作成し、死後のトラブルを防ぐため、出来る限りの対策をしておきませんか。残された愛する家族を守るために、家族への想いをかたちにしましょう。

 
 

「公正証書遺言」がおすすめ

一般的に、多く利用されている遺言書の種類は「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」の2種類です。自筆証書遺言は手書きが必須であり、修正のルールも細かく、原則として検認手続(家庭裁判所での確認作業とご理解下さい)が必要なため、当事務所では「公正証書遺言」をおすすめしています。

公正証書遺言とは

公正証書遺言は、遺言書を作成する人(遺言者)が内容の原案を考えた上で、最終的には公証役場で公証人が記述して作成するものです。作成時に証人二人以上の立ち会いが必須となるため、必ず第三者の目を通ることになり、「遺言内容の不備により無効」となるリスクを最大限なくすことができます。

遺言者が亡くなって実際に相続が始まる段階になったとき、遺言書に関して一番争いになるのは「内容が有効かどうか」です。ただ遺言書を作成すればいいわけではなく、それが「有効な遺言書」でなければ、死後のトラブルを防ぐことはできません。数万円程度の作成手数料はかかりますが、それ以上のメリットがあるといえるでしょう。

また、遺言書の内容を確認したいときに、すぐに知ることができることもメリットの一つです。

自筆証書遺言との違い

一方で、自筆証書遺言は、証人を必要とせず、一人で作成することができます。ただし、全て自署しなければならないため(原則としてパソコンは不可)、内容によっては無効となる場合があります。手軽に作成できるとはいえ、内容は慎重に検討しなければなりません。

また、遺言書の中身を確認したいと思っても、すぐに封を開けることはできません。原則として、家庭裁判所で相続人などが立ち会いのもと、「検認」という手続きをする必要があります。

「思い立ったときにいつでも書ける」という手軽さの面では、自筆証書遺言にもメリットがありますが、何より「有効な遺言書を残す」という一番重要なところでリスクがあること、検認の手続きの手間を考えれば、公正証書遺言のほうが好ましいでしょう。

 
 

遺言書作成で気をつけるべきポイント

・有効な遺言書を作成しなければ、死後の相続トラブルを防ぐことはできない
・遺言書を作成するなら「公正証書遺言」がおすすめ
・遺留分に配慮した内容とする

 
 

弁護士 齊藤 遼亮の特徴

遺言書を作成するにあたって、ご依頼者様のご希望を伺った上で、懸念点を全て洗い出します。特に、遺留分などでトラブルになりそうな部分については、トラブルを防ぐための対応(遺言書の書き方、生前贈与などの対策)に知恵を絞ります。

今までの経験を全て活用し、先を見すえた対応と丁寧な説明で、納得感ある遺言書の内容をご提案します。共に考えましょう。

 
 

解決事例

【80代女性】特定の子どもに財産を残したい

<ご相談内容>
子どもは2人いるが、近くに住んでいる長女がいろいろ面倒をみてくれているので、財産を残したい。迷惑ばかりかけられた長男には残したくない。

<対応>
不動産と預貯金を合計して5000万円ほどになる、全ての財産を長女に相続させるように遺言書を作成しました。

依頼者が長男に、家の購入資金の頭金や借金を立て替えた分など、資料を集め、遺留分減殺請求に対応する金額は生前贈与をしたことの証拠を集めることで、遺留分減殺請求にも対処しました。

<コメント>
このように、自身の財産を誰に譲りたいかを考え、それを現実的に形にするためには弁護士に早めに相談することをお勧めします。