遺産分割の流れ

大まかな流れは以下のとおりです。

相続人、相続財産の確定
戸籍の取得
財産目録の作成
遺産分割(協議・調停・審判・訴訟)
相続するかどうかの確定相続しない場合:相続放棄
分割割合の確定法定相続分にするかどうか(特別受益や寄与分の調整)
分割方法の確定
決定した内容を書類にまとめる
 
 

相続人、相続財産の確定

まずは相続人を確定します。法定相続人が相続人となる場合が多いですが、思わぬ血縁関係が判明する場合もありますので、戸籍の取得などで必ず相続人全員を確認しましょう。

被相続人の本籍地のあった市区町村役場で取得することができます。婚姻等により本籍地の変更がある場合はそれぞれの市区町村役場にて取得することになります。当職の取り扱った事件のなかでは、この手続によって、被相続人の隠し子が発覚したことや、被相続人が亡くなる直前に第三者と養子縁組をしていたような場合もあります。
そのため、相続人の調査は必ず必要な手続きです。

また、相続財産の内容も確認すべきです。預貯金や不動産、株式などありとあらゆる財産を確認し、財産目録を作成しておくとよいでしょう。
預貯金の通帳等により被相続人が亡くなった日の残高を確認し、不動産については、査定書を取得するとよいでしょう。

法定相続人

民法では、相続が発生した場合に相続人になれる人が指定されています。遺言書がない場合は、法定相続人に対して決められた分を遺産分割することになります。

法定相続人には、1から3番目まで「相続できる順位」が定められています。順位の異なる法定相続人は、同時に相続人にはなれません。また、第1順位の人が生きている場合は、その人が相続放棄をしない限り第2・第3順位の人が相続することはできませんので注意してください。

 
 

遺産分割(協議・調停・審判・訴訟)

借金など誰も受け取りたくない負債が多く残されている場合もありますので、「相続するかどうか」から話し合いましょう。相続しない場合は、相続放棄の手続きに進みます。

相続放棄についてはこちら

相続をする場合は、「法定相続分」を参考に分割割合を決めるとよいでしょう。

法定相続分

法定相続分は、配偶者が1番多く受け取れるように設定されています。

ただし、特別受益や寄与分など、特定の相続人が「生前に多く財産を受け取っていた」場合は、法定相続分のとおりに分けないほうがよい場合もあります。
詳細は、弁護士にお問い合わせください。

相続財産について、当職の取り扱った事件では、被相続人の預貯金が、被相続人が亡くなる直前の1か月間に、毎日50万円ずつ引き出されていたこともあります。
そのような場合、引き出した相続人がしらばっくれる様なときは、民事訴訟を速やかに行う必要があります。

分割方法の確定

遺産が預貯金だけならよいのですが、不動産や株式など、分けにくい遺産の場合は「どうやって分けるか」も決めなければなりません。不動産を売却して現金化したうえで分けるのか、土地なら半分にするのか……。決定した内容は書類にまとめておくと、のちのトラブルを防ぐことができます。

なお、遺産分割を話し合いで決める場合(遺産分割協議)は、相続人全員の参加と合意が必須となります。話し合い(協議)で決定が難しい場合は、裁判所で調停→審判と進むことになります。

 
 

遺産分割で気をつけるべきポイント

・まずは相続人全員と相続財産の全てを確認する
・法定相続分の確認だけでなく、分けるときに考慮すべき要素(寄与分など)を把握する
・全員の参加と合意が必須の「遺産分割協議」で解決が難しそうな場合は、早めに弁護士に相談する

 
 

弁護士 齊藤 遼亮の特徴

「長男はいつも優遇されていた」「長女と違い、自分は学費を出してもらえなかった」……など、長年の想いがあふれがちな相続。だからこそ、遺産分割のご相談を受けるときは、いろいろな感情を受け止めて、精神的なケアも怠りません。

「法定相続分では2分の1だからあなたの取り分はこれだけ」という事務的なご説明ではなく、納得感を持った解決になるよう丁寧な説明を心がけています。なぜこの分け方になるのか、希望を叶えるためにはどうすべきなのか、事細かにご説明します。ご依頼者様と共に考えられるよう、解決への過程も納得感を持てるようにサポートいたします。

 
 

解決事例

【40代女性】会ったこともない隠し子がいた!遺産分割はどうしたらいい?

<ご相談内容>
父が亡くなり、相続人は娘の自分だけだと思っていた。銀行手続きをするために、戸籍を取ったところ、父に隠し子がいたことがわかった。どうしたらいいのか。

<対応>
遺産分割協議をするため、亡くなられたお父様の遺産を整理し、価値を算定したうえで、隠し子の方と連絡を取りました。希望をお伺いしたところ、法定相続分を現金でいただきたいとのことであったため、遺産目録をお見せして、200万円をお支払いすることで解決しました。

<コメント>
本件は、財産が預貯金と株だけであったことから、比較的に遺産の価額を算出することが容易でしたが、不動産や非上場の株式等が遺産に入っている場合には、弁護士に相談した方がよいでしょう。
また、会ったことがない隠し子との交渉は感情的になることもあり、弁護士を交えて話し合うことが望ましい場合も多いことも事実です。早めにご相談ください。