事業承継とは

事業承継とは、企業の経営者が後継者に事業を引き継ぐことです。廃業を避けて会社を残すためには、誰かに会社を継がせる必要があります。 事業承継を進める際は、今後の会社経営や相続税・贈与税の節税対策などを考慮して、事前に時間をかけて計画的に行うことが重要です。 事業承継の方法は、大きく分けて三つあります。

● 親族内承継:親族を後継者とする方法
● 親族外承継:親族以外の従業員などに承継する方法
● M&A:事業自体を売却する方法

それぞれの内容について、以下で説明します。

 
 

親族内承継

最も多いのは、子どもに会社を継がせるパターンです。経営者一族として地位が承継されるため、会社の従業員などから受け入れられやすいというメリットがあります。創業者一族による経営であれば、経営方針にも一貫性が強く見込めます。

一方で、子どもが複数いる場合は、後継者争いが起きる可能性があります。また、遺留分を考慮すると、相続の観点から手続きが難しくなることもあるでしょう。相続人の間で不平等が生まれないよう、うまく財産を配分する準備をしておく必要があります。

 
 

親族外承継

親族ではなく、役員や従業員に会社を継がせたい場合もあるでしょう。役員や従業員は、これまでの事業に深く携わってきているため、事業運営を円滑に進めることができます。たとえ親族であってもそれまでの会社のプロセスをよく知らなければ、適切な対応はできません。

ただしこの場合、後継者となる人は、会社の株式を譲り受けるために一定の資金を工面しなければなりません。それが難しい場合が多くありますので、この点をクリアできるかどうかが重要なポイントとなるでしょう。

 
 

M&A

事業自体を売却するM&Aであれば、親族や社内に後継者にふさわしい人がいなくとも、会社を存続させることができます。適切なタイミングで適切な相手に売却できれば、今後の発展も期待できるでしょう。

一方で、所属する従業員の継続雇用や売却価格などの希望条件を満たす売却先を見つけることが難しい場合もあります。場合によっては多くの時間がかかるでしょう。また、既存の経営陣が経営から離れることで、企業文化や理念などが失われてしまう可能性も高いです。

 
 

弁護士 齊藤 遼亮の特徴

日本は深刻な後継者不足と言われています。事業承継は企業の経営者が後継者に事業を引き継げるメリットの大きい方法です。最適な進め方で最善の事業承継を行うためにも、まずはご事情をお聴かせください。丁寧なヒアリングとご説明で、最適なプランをご提案します。

企業の社長の皆様のサポートに尽力いたします。事業承継をお考えで、お困りのことがあれば、お気軽にご相談ください。

 
 

解決事例

【60代男性】自分が亡くなったときに、長男に会社を相続させたい。どうしたらいい?

<ご相談内容>
長男に事業を承継させたいが、遺言書をどのように書けば、それが実現できるか知りたい。

<対応>
単に株式を長男に相続させる遺言を作成した場合、株式の評価が争点となる可能性があったため、事前に会計士に依頼して、一株当たりの評価額を調査しました。
その上で、その他の兄弟には不動産や預貯金を渡す遺言とすることで、遺留分減殺請求も避けることができました。

<コメント>
本件は、株式以外にも財産があり対応することが比較的容易でした。しかし、次男が会社を承継したいという意思を有していたことが被相続人が亡くなった後に判明し、事前の対策を行っておいて良かったと安堵した事案でした。